中国におけるカルストの地帯的特徴。中国東部のカルスト地形が緯度による地帯的分布をしており、南から北に向かって、熱帯カルスト、亜熱帯カルストと温帯カルストの順に分布している。中国西部は水の制限や地形の影響で、乾燥地域カルスト（北西地域）と寒冷高原カルスト（青海チベット高原）に属している。

①熱帯カルストは峰林—ウバーレが代表的で、広西、広東西部、雲南東部、貴州南部などに分布している。地下洞窟が多く、溶食性のアーチ型洞窟が中心である。地下河の支流が多く、流域面積が大きいため、地下水系と呼ばれており、その平均流域面積は160平方キロメートルで、最大の地蘇地下河流域面積は1000平方キロメートルに達している。地表は多くのウバーレが発育している。峰叢地域では、一平方キロメートル当たり平均2.5個に達している。ウバーレの間隔は100～300メートルで、凸地形が分割され、峰林—ウバーレという地形をお呈している。峰林の傾斜度は険しくて、45度以上が一般的である。峰林は孤峰、疎峰、峰叢などのタイプに分けられる。奇峰と不思議な洞窟は熱帯カルストの典型的な特徴である。

中国熱帯海のサンゴ礁は最も若い炭酸塩岩で、後期更新世と完新世に形成されたものが多い。低いのは海面からわずか数メートル、高いのは海面から10メートル余り出てきて、大きな洞窟、天生橋、臨海溶食崖、溶溝、石芽などに発達し、岩礁島嶼のサンゴ礁多溶孔景観を構成している。

②亜熱帯カルスト地形は丘陵—ウバーレ（谷地）が代表的である、秦嶺淮河一線の南に分布している。地下川は熱帯より多くて短いが、平均流域面積は60平方キロメートル以下である。ウバーレが少なく、一平方キロメートルにつき1つぐらいしかなくて、しかも南から北へ少なくなっており、逆に涸れ川の割合は急速に増えている。凸地形正地形は典型的ではなく、主にマントウ状の丘陵で、傾斜度は25度ぐらいが一般的で、洞窟の数は熱帯より大いに減少しており、溶食性の割れ目型洞窟が多く、溶食性のアーチ型洞窟は亜熱帯カルストの南部に多い。

③温帯カルスト地形はカルスト山地涸れ川が代表的で、地下洞窟は発育しているが、割れ目型洞窟が一般的で、その規模は小さい。カルスト泉は比較的目立ち、一般的には集水域と流量が大きい。例えば、趵突泉と娘子関泉。この一帯はウバーレが極めて少なく，涸れ川が非常に多い。凸地形は普通の山地と同じで、ただ山頂には古亜熱帯で発育する丘陵—ウバーレと丘陵—涸れ川などの地形がある。下に強く切る川の流れは峡谷を形成し、一部の地域、例えば拒馬河の両岸には峰林に類似する地形がある。

④乾燥地域カルスト地形の発育が弱く、数少ない石灰岩の割れ目にわずかな溶食の痕跡があるが、一部の亀裂は方解石で充填されている。地下洞窟は極めて少なく、浸出や地盤不安定の要素にはなれない。

⑤寒冷高原カルスト。青海チベット高原のカルストは周氷河作用による凍結融解と風化が強く、そこのカルスト地形はかなり特色がある。凍融石丘、石壁などがよく見られ、その下部は周氷河作用で形成された岩屑の堆積で覆われている。山の斜面には浅い岩の洞窟が発達しており、穴も見られる。ウバーレもまたに見られる。